休暇村 田沢湖高原宿舎リニュアル設計にあたり私共は、乳頭温泉郷全体が成熟した温泉リゾートエリアとしてなるために回遊性をイメージし、乳頭温泉郷が活性化促進するための核的役割を担う施設づくりを設計コンセプトとしております。
既存施設が多年にわたり地域と共に築き上げてきた「日本有数の秘湯」、このイメージを既存RC部残しながら全体を天然木で雁木・民家調デザインを施し、温泉郷の街並み形成に寄与するよう地域の継続的発展のために、不足機能を補填する施設としての役割をも担い、過酷な冬の自然現象から訪れる人が安心して利用出来る施設計画を目指しました。
敷地は傾斜地に立地し、公園法にて高さの制限があります。冬は積雪が2〜3mあり、屋根からのつららが3〜4mにもなるこの地域は、建物配置・屋根形態・外観デザインに雪とのおりあいを強いられます。雪降ろし・除雪は人間がこの地で営みを継続する上で、自然現象とおりあう為の労力行為で、屋根・庇の形態と雪囲は生活機能と直結しており、配置計画で除雪ルートが決定要素になりました。
今回の施設計画で造成の切り盛りを極力少なくなる様に、地形勾配に合わせ前方から3階建(パブリック主体)・2階建(宿舎棟)・1階建(浴室棟)の各建物を渡り廊下で結んだ形態・配置としました。施設配置計画においては、既存敷地現況を利用し極力伐採しない様な配置計画になる様に関係者で協議決定しました。
休暇村 田沢湖高原は2つの違う成分の温泉が引かれており、混じり合う事で固形物が発生するため流入・排水経路を考慮し、かつ経年変化にも耐えられ快適に利用出来る素材・デザインを計画し床には十和田石、壁は耐水性を確保出きる木材・処理を選択しました。
我々が自然豊かなの環境中で建築行為をする時、開放感に追随し日常生活以上に人間の生活快適度を高め安全な都市空間を創出しなくてはなりません。今回の設計で、休暇村協会が少子高齢化社会に対応した人に優しい施設づくり実施し、これから秘湯温泉郷に架する社会的ニーズ・ウォンツに対応した将来像を展望・模索する設計に参加出来た事に感謝致します。
滑ツ境デザイン計画 代表取締役社長 川島 啓道
「自然・地域と共に歩む」
<2001年12月28日 建築産業新聞3面記事より>